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3匹の子ぶた 第二章

<第二章>

この子ブタにはお父さんとお母さんがいませんでした。

いなかった、というよりもうこの世にはいないのです。


子ブタは「ようとんじょう」という、にんげんが作った場所で生まれ育ちました。

少し狭いけれど、決まった時間に食べ物が配られて、にんげんが家の掃除もしてくれました。

ようとんじょうには沢山のブタが幸せに暮らしていて、その中に子ブタのお父さんとお母さんもいました。


この子ブタはようとんじょうから逃げてきたのです。

お父さんとお母さんがようとんじょうから「とさつ」に送られるときに、にんげんの目を盗んで子ブタを逃がしてくれたのでした。

オオカミに襲われることもなく、食べるものも寝る場所にも困らない幸せな

「ようとんじょう」から子ブタはどうして逃げたのでしょう?


子ブタはようとんじょうの幸せがうわべだけのものだと知っていたからです。

子ブタだけではありません、ようとんじょうにいるブタはみんな本当は知っていました。


にんげんが自分たちに食べ物をくれてオオカミから守ってくれて家を掃除してくれる本当の理由を。

ブタたちはある大きさになるとみんな「とさつ」に運ばれて、そこから戻ってくる

ブタは一匹もいない事を。


みんないつか殺されてにんげんの食べ物になるためなのです。


また子ブタのお母さんは、今まで数え切れないほど沢山の子供達を育ててきましたが、自分が生んだかわいい子供たちもいずれ間違いなくとさつに運ばれることを知っていました。

自分のお腹を枕にして、スヤスヤと眠る子供達を見て、この子供たちはにんげんのたべものになるために生まれてきたのだと思うと、自分の運命が恨めしく、自分の無力さを感じてただ涙を流すのでした。


お母さんは健康だったので沢山の子供を生みました。

その子供たちの中にはお母さんより先にとさつに運ばれていく子供たちがいました。

そんな時がお母さんにとって一番つらい時で、幸せなようとんじょうの毎日には本当は希望などひとつもありませんでした。


お母さんが産んだ本当に沢山の子供達を、ひとりひとりの事を、お母さんはしっかりと覚えていました。

にんげんにとっては沢山のブタだったけど、お母さんにとってはひとりひとりが

それぞれ違う性格と笑顔を持った愛しい子供たちでした。


生まれた子供たちは、最初はただ幸せに暮らしているけど、大きくなるにつれて

自分たちの運命がそのように定められていることにうすうす気づくようになりました。

でもそれを知った子ブタたちは決してその事を口にすることはありませんでした。


子ブタ達は、自分たちがいずれ殺されてにんげんの食べ物になる運命しかないと知ってしまったことを、お父さんとお母さんが知ったら、よけいに悲しむと思ったからです。

子ブタ達はわざと無邪気に子供らしく振舞い何も知らないふりをして、

大切なおとうさんとおかあさんを安心させました。

でもおとうさんとおかあさんも幼い頃、同じように何も知らないふりをして大人のブタたちを安心させてきたのです。

大人のブタたちもいずれとさつにおくられるその日までできるだけ何も考えないように暮らしていました。

考えたってどうせ未来などありません。


思い切って外に逃げ出したって、どうせ外にはオオカミがいるじゃないか。

にんげんに食べられることもオオカミに食べられることも同じことだ、と。

食べるものに困らず、オオカミに襲われる心配のない、この毎日こそが幸せなのだと、

そう思い込んで自分達の心さえだますのです。


ようとんじょうのブタ達はおじいさんの代のそのもっとずっと昔からこうして

心をごまかして生きてきました。

<第三章に続く・・・>

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